講演情報

[3I-01]蓄熱マイクロカプセルの付着による吸湿発熱繊維の高温持続性の向上

〇高橋 哲也1、薄井 義治2、岡屋 洋志2、真下 章弘2 (1. 島根大学人間科学部、2. 大和紡績株式会社)
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キーワード:

吸湿発熱、蓄熱マイクロカプセル、高温持続時間

「目的」
 吸湿発熱繊維は、汗をかくと発熱効果が高くなり過ぎたり、逆に寒くなると発汗が抑制されるために発熱効果が低いなどの問題がある。そこで、吸湿発熱不織布に蓄熱マイクロカプセルを付着させて、高温持続性の向上を試みた。さらに、様々な使用環境を想定した雰囲気状態での吸湿発熱挙動についても調べた。
「方法」
1) 試 料: 吸湿発熱繊維として、高吸湿レーヨン繊維のスパンレース不織布を用いた(目付100g/m2)。また、蓄熱マイクロカプセルとしては、n-パラフィンを芯物質とするメラミン樹脂膜のものを用いた。所定の配合比で調製した溶液を用い、不織布へのディッピングを行った。
2) 吸湿発熱の評価: 20℃、20%RHに設定した恒温恒湿器内にサンプルを放置した後、湿度96%RHの高湿度エアーを流量2.0L/minで注入した。高湿度状態に10分間放置した後、再び20%RHの低湿度状態に戻して40分間放置した。その間の温度変化を調べた。
「結果」
 高湿度空気によって生じる発熱ピークの時間幅は、マイクロカプセル付着率を高めることによって広がることがわかった。未付着の不織布では吸湿発熱による2℃以上の温度上昇する時間は1分20秒間しか無かったのに対して、マイクロカプセルを付着させた場合では8分20秒間にも長くなった。また、異なる温度や湿度の環境でも、高温状態の持続性はマイクロカプセル付着させることによって向上していた。