講演情報

[3L-05]高等学校家庭科における金融教育―教科書「家庭総合」の分析を通して―

〇高松 凌多1、速水 多佳子1 (1. 鳴門教育大学)
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キーワード:

金融教育、家庭科、高等学校

目的 平成30年告示の高等学校家庭科の学習指導要領において,新しく金融教育の内容が盛り込まれた。金融教育で扱う内容は幅広く,家庭科教員が何を目標としてどのような金融教育を行うべきかを明確にする必要がある。そこで本研究は,家庭科に求められている金融教育とはどのようなものかを明らかにすることを目的とする。
方法 家庭科教科書が新しく取り入れられた内容や学習指導要領の趣旨をどのように反映して記載しているのかを分析する。分析の対象は,令和4年度に使用されている高等学校「家庭総合」の教科書6冊(開隆堂,第一学習社,東京書籍,実教出版,教育図書,大修館)とした。分析にあたっては,押さえるべき要点を11項目にまとめたものを基準に比較を行う。
結果 教科書には,平成30年告示の学習指導要領に基づいて金融商品(預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等)それぞれの特徴が記載されており,ライフプランに関連させて資産形成の必要性が言及されている。ただし,学習指導要領で重視されている,金融商品を生かして資産形成を行うという流れはつかみにくい。時代変化と共に金融教育の重要度が増す中で,家庭科教育においては,資産形成のための金融商品の活用についてより具体的な内容が必要となる。変化の激しい時代において、高校生自らが卒業した後のライフプランと資産形成を結びつけて考える力を育むことのできる授業開発が求められている。