講演情報

[3N-4]「家計簿をつけ通す同盟」参加者にみる家計簿記帳の意義

〇重川 純子1 (1. 埼玉大)
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キーワード:

家計簿、記帳活動、婦人之友、家計簿をつけ通す同盟、調査票調査

目的 長期記帳された家計簿の収集は難しいため事例研究されることが多く、長期記帳者の量的調査は容易ではない。本研究では、雑誌「婦人之友」の呼びかけで1946年から2021年まで活動した「家計簿をつけ通す同盟」への参加者が記帳することの意義をどのようにとらえているのか定量的捕捉を目的とする。 
方法 同盟の活動終了時点に登録していた者に2022年4月に郵送法で調査票調査を実施した(2021年会員(427)配布、有効回答233)。また、参加者からの質問への対応や収集データ集計を行っていた同盟の担当者4名に活動についてのインタビューを行った。
結果 同盟参加者は毎月一定書式の家計集計を提出し、事務局は年に1回、参加者の年齢別等の年間平均結果を報告していた。回答者の過半数は70歳代以上であり、記帳期間40年以上である。結婚を契機に記帳を始めた者が過半数を占める。同盟への参加の契機として毎月の締切の存在を挙げる者が65%、仲間の存在を挙げる者が26%を占める。33%は相談・アドバイスを挙げた。家計簿記帳は個人的な行為であるが、同盟の存在が継続を下支えしている。9割以上の者が予算立てに過去の家計簿を用いており、記帳年数経過により予算立てを難しいと感じる割合が減少している。継続期間が長くなると、記帳行為は1日の振り返りの機会、家族内での役割の確認、社会とのつながり意識など多面的な機能を認識する傾向がみられた。