講演情報

[P-065]島バナナからの簡易採繊

〇野村 陽子1、柿原 文子2、前原 弥生1、小泉 好司1 (1. 沖縄科学技術大学院大、2. 日本女大)
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キーワード:

島バナナ、イトバショウ、繊維幅、簡易抽出、芭蕉布

目的:沖縄では伝統的にイトバショウからバナナ繊維が採られてきたが,明治時代に小笠原諸島から食用に移入された島バナナから繊維が採られることはない.そこで,島バナナから簡易採繊し(1),得られた繊維をイトバショウと比較することを目的とした.
方法:イトバショウ(抽苔後)と島バナナ(果実収穫後)の偽茎から葉鞘を剥がし,繊維の多い背軸側を分離し,繊維材料とした.この材料を沸騰した0.5%炭酸カリウム溶液で15分間煮沸し(浴比1:5),水道水で洗浄した.洗浄後の材料から繊維を分離し,実体顕微鏡で撮像したイメージ(40倍)から最大繊維幅を測定し,繊維の太さとした(n=15).
結果:イトバショウの134.4 μm(標準偏差39.7)に対して,島バナナは181.3 μm(標準偏差65.0)であり,太いことがわかった.この理由として,島バナナの植物体がイトバショウより大型であり,繊維細胞が大きいか,分離された1本の繊維を構成する細胞数が多いこと,もしくはその両者が考えられる.現在,繊維の断面を観察することにより,繊維の太さの要因について精査している.今後,繊維の特性を調べ,将来,夏向きの素材への可能性も検討したい.
(1) 柿原ほか. 芭蕉布繊維の簡易採繊. 日本家政学会誌. 2021, 72(12), 818-828.
本研究は,科研費基盤研究C19K02308と挑戦的研究(萌芽)22K18489の助成を受けている.