講演情報

[P-069]界面活性剤溶液で湿潤した羊毛の摩擦係数とフェルト化に及ぼす影響

〇藤本 明弘1、中村 芽衣2、伊藤 梢2、松田 美帆3、森田 みゆき2 (1. 宮崎大学、2. 東京学芸大学、3. 北海道拓北養護学校)
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キーワード:

羊毛、フェルト化、摩擦、界面活性剤

目的
我々はこれまで、陰イオン界面活性剤を用いた羊毛のフェルト化要因として温度や湿度、界面活性剤が主要な要因であることを明らかにした。その他にも、羊毛のフェルト化が起こる要因としては界面活性剤溶液で湿潤した羊毛の摩擦係数の影響が考えられる。しかし、これまで界面活性剤によって湿潤状態となった羊毛の摩擦係数とフェルト化の関係性についてほとんど検討されていない。
そこで本研究では、各種界面活性剤溶液によって湿潤状態となった羊毛の摩擦特性とフェルト化に及ぼす影響について検討した。

方法
フェルト化特性の評価は、アーヘンフェルトボール試験法に準拠してフェルトボールを作成し、3箇所の直径の平均値を求めることで行った。
摩擦係数の測定は、羊毛布帛を界面活性剤溶液中でときどきかくはんしながら、5分間浸漬し、取り出す。その後、5箇所の摩擦係数を測定した。

結果
界面活性剤の濃度変化がフェルトボールの直径に与える影響について検討した結果、陰イオン界面活性剤の場合、cmc付近でフェルトボールの直径が最小となり、cmc以降には直径がわずかに増加した。
界面活性剤で湿潤した羊毛布帛の摩擦係数を測定した結果、陰イオン界面活性剤ではcmc において摩擦係数が増加した。このことから、cmc付近まで陰イオン界面活性剤の吸着量が増大したことにより、水溶液がスケール内により多く入り込み 、スケールが開きフェルト化が促進されると推察される。