講演情報

[P-071]銅媒染染色綿布のエタンチオールに対する消臭機能の回復

〇雨宮 敏子1 (1. お茶の水女大)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

消臭機能、回復、銅、エタンチオール、媒染、綿

目的 直接染料と銅塩を用いて媒染染色綿布を調製し,銅の酸化作用によるエタンチオール除去特性について研究を行ってきた.チオールの除去に伴い還元された布上の銅は,大気曝露により酸化され,消臭布として繰り返し使用可能になると考えられる.本研究では,消臭機能回復に要する時間や回復過程での除去挙動について調べた.
方法 綿ブロードを,1, 3 ,5%owfのC. I. Direct Red 28で染色後,5%owf硫酸銅(II)五水和物で媒染した.染色および媒染における浴比は1:30とした.試料布2 gを入れた2 Lテドラーバッグに,100ppmのチオールを含む空気を導入後,気体検知管法またはガスクロマトグラフ法でチオール濃度およびジスルフィド濃度を測定した.消臭能の回復を調べるため,含銅量に対し過剰のチオールに試料布を一晩接触させて消臭能を完全に失わせた上で,大気中に1~10日間曝露後,再び消臭実験を行った.
結果 n日間大気曝露後の消臭実験における5 h時点でのチオール減少濃度を,消臭性を失う前の消臭実験における5 h時点でのチオール減少濃度で除し,回復率とした.曝露時間が長くなるほど回復率が高くなり,元の消臭能に漸近的に近づいた.高い含銅量の試料布ほど消臭能は高いものの,回復率についてはほぼ同じ挙動を示した.含銅消臭布を繰り返し使用する場合,実用的観点から銅の機能回復の速い消臭布の開発が有用である.