講演情報

[P-073]日本人高齢女性における下腿と足の温度感受性

〇深沢 太香子1 (1. 京都教育大)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

高齢者、年齢差、温度感受性、冷覚閾値、温覚閾値

目的 高齢の日本人女性対象として,下腿と足における温度感受性について検討することとした.
方法 本研究では,下腿における4部位と足における12部位の,計16部位を温覚と冷覚の測定対象部位とした.被験者は60歳代と70歳代の計20名であり,60代(10名)と70代(10名)の2群に分けた.実験中の着衣条件は,トップスとショートスパッツとした.実験での温熱環境条件は,気温29.1±1.1 °C,相対湿度32.4±7.8 %,風速0.3 m/sであった.
結果 初期皮膚温と温冷感知覚時の皮膚温との温度差を,それぞれ,温覚閾値と冷覚閾値とした.温覚と冷覚の両閾値ともに,部位による差異は認められなかった.60代の温覚と冷覚の両閾値は,70代のそれらよりも大きい値を示した.これら温覚と冷覚の両閾値は,2群間に年齢による差異が認められたものの(p< 0.001),下位検定の結果,年齢差が認められた部位は少なかった.具体的に,年齢による差異が認められた部位は,温覚閾値の場合は足底の足幅内側と内果の上の2部位のみであり,冷覚閾値の場合は腓骨頭の下腿後ろの1部位のみであった.ヒトの温度感受性は,温覚よりも冷覚が鋭敏であることが報告されているが,対象部位における冷覚と温覚の閾値より,60代の冷感受性は温感受性よりも高かったのに対して,70代の冷・温感受性は同程度であった.