講演情報
[P-079]第二次大戦以降の着物の改良-上田美枝の新しい仕立ての着物を中心に-
〇田中 淑江1、山村 明子2 (1. 共立女子大学、2. 東京家政学院大学)
キーワード:
着物、着物の改良、上田美枝
目的 日本人の日常着であった着物は、近代以降の社会環境の変化に伴い、その形状を改良する試みがなされてきた。戦後の着物の改良は、主に服飾デザイナーやきもの研究家、教育者などにより行われた。本研究では実業家であった上田美枝(1908~2002)に着目し、彼女が提案した着物の特徴を明らかにし、改良着物における位置づけを考察することを目的とする。
方法 『朝日新聞』に連載の「水曜洋裁店」(1959年4月~1970年4月)や『読売新聞』に連載の「洋裁科」「今月の洋裁」(1952年11月~1965年8月)に掲載された「和服」「和裁関連」記事と当時の和裁書より、縫製や構成の特徴について比較検討を行う。
結果 戦後、考案された改良着物は活動しやすく合理的な衣服を目指し、洋裁技術や構成、新しい繊維素材を採用することが主流であった。服飾デザイナー大塚末子(1902~1998)はこのような改良着物を牽引した一人だ。一方、上田の着物は反物や広幅を用いて生地の特徴を生かす点は類似している。しかし「伝統の形を大切にしながら着やすい着物」、反物を裁断せず「成長しても仕立て替え可能な仕立ての工夫」など従来の着物の構造上の特徴を生かし、和裁技術の簡易化を目指した点では、他の改良着物とは異なり、この点で上田は数々の特許を取得した。同時期には着物は日常着から伝統的服装へと位置づけを変え、上田の改良着物は既製服化や職業着への展開などに有益であった。
方法 『朝日新聞』に連載の「水曜洋裁店」(1959年4月~1970年4月)や『読売新聞』に連載の「洋裁科」「今月の洋裁」(1952年11月~1965年8月)に掲載された「和服」「和裁関連」記事と当時の和裁書より、縫製や構成の特徴について比較検討を行う。
結果 戦後、考案された改良着物は活動しやすく合理的な衣服を目指し、洋裁技術や構成、新しい繊維素材を採用することが主流であった。服飾デザイナー大塚末子(1902~1998)はこのような改良着物を牽引した一人だ。一方、上田の着物は反物や広幅を用いて生地の特徴を生かす点は類似している。しかし「伝統の形を大切にしながら着やすい着物」、反物を裁断せず「成長しても仕立て替え可能な仕立ての工夫」など従来の着物の構造上の特徴を生かし、和裁技術の簡易化を目指した点では、他の改良着物とは異なり、この点で上田は数々の特許を取得した。同時期には着物は日常着から伝統的服装へと位置づけを変え、上田の改良着物は既製服化や職業着への展開などに有益であった。