講演情報

[P-083]大正・昭和初期のきものにおける洋花文様の展開PR誌『三越』を中心に

〇藤本 純子1 (1. 同志社女子大学)
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キーワード:

洋花文様、近代、きもの

目的 : 近代の日本の生活文化は、西洋の影響を受けて大きく変化した。初期の女性の衣生活の洋風化は、きもの文様の上にうかがうことができる。その一例として、洋花をモチーフとするきもの文様が知られているが、具体的な検討は不十分である。本報では近代のきもの文様にみられる洋花の種類や表現、文様展開の実際を捉え、衣服デザインにおける西洋の影響の一端を明らかにすることを目的とする。方法 : 1911(明治44)年3月から1933(昭和8)年4月に発行された三越呉服店・百貨店のPR誌『三越』を取り上げる。『三越』誌面のタイトル、個々のキャプション、当時の花卉市場の動向を手がかりに、掲載された洋花文様のきものおよびきもの地の写真図版を選定し、資料とする。対象としたのは、長着、羽織、半襟、帯等の和服として着用する服種に関する図版である。得た資料を整理・分析し、『三越』の洋花に関する特集記事や解説文を参考としながら考察する。結果 : 近代の日本の服飾界をリードした三越呉服店・百貨店のPR誌『三越』には、チューリップ、洋蘭、コスモス等、多数の洋花をモチーフとする新しいきもの文様が掲載されていた。伝統的な構図のモチーフを置き換えたり、西洋の流行文化を映し出したり、西洋のデザイン手法を模倣する等、近代の日本で進められた西洋の文化やデザインの導入・展開の様相を捉えることできた。