講演情報

[P-084]現代住宅における土間空間に関する研究建築家の住宅作品を対象として

〇大橋 寿美子1 (1. 大妻女子大学)
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キーワード:

土間、つなぐ空間、靴の使用

目的:戦後我が国の住宅は、機能の縮小化に伴い外部とのつながりを最小限にしたnLDK型住宅が主流となった。小家族化し地域コミュニティが脆弱化した現在、住宅や居住地において家族以外の人や自然とのつながりの創生が求められている。そこで近年散見される土間に着目し、現代住宅での導入実態やつなぐ空間としての有意性を検証する。調査方法:2000年1月~2021年10号の雑誌『住宅特集』に掲載された、建築家による玄関以外の土間が設定された50事例を主な対象として住空間計画を分析した。調査項目は土間の平面形態、空間名、土間の目的、靴の使用などである。調査結果:①土間位置による平面形態別数は、分割型3割、正面型2.2割、全面型2割、包含型1.4割であった。②空間名は「ダイニング」「キッチン」「テラス・庭」がともに約5割、「アトリエ・趣味室・工房」約4割、「リビング」約3.5割であった。③設定目的は「家族以外の人とのつながりの創生」「自然を感じるため」がともに約8割、「作業効率向上」約7割、「公私の緩衝帯」「デザイン性」約2割であった。④土間での靴の使用は「土足のみ」約5割、「裸足(スリッパ含)」約1割、「混合」約3割であった。このように開放的な平面形状をもつ住空間において、ダイニング、キッチン、リビングなどの居室を土間化し、住宅内外を越えて、家族以外の人や自然とのつながりを作ろうとする実態が明らかになった。