講演情報

[2B-02]タウリンが通常およびⅠ型糖尿病ラットのグルコース代謝におよぼす効果の検討

*土谷 庸1、川俣 幸一2 (1. 淑徳大学、2. 東北生活文化大学)

キーワード:

タウリン、グルコース能動輸送、血中グルコース濃度、空腸

タウリンの長期間摂取により、血糖値低下および高血糖予防効果が見られることが知られている。その一方で、タウリンの短時間投与が糖代謝に及ぼす効果は不明であった。本研究では、タウリンの短時間投与が空腸グルコース吸収および血糖値上昇におよぼす効果の検討を行った。空腸グルコース吸収量は、反転空腸標本を用いた実験、およびUssingチャンバーを用いた空腸粘膜ナトリウム・グルコース共輸送体1(SGLT1)活性測定実験において測定した。タウリンの管腔側投与により、空腸グルコース能動輸送は有意に抑制され、この効果はSGLT1を介したグルコース吸収抑制によるものであることが明らかとなった。このタウリンによるグルコース吸収抑制効果は、管腔側にスクロース投与した際にも観察されたが、マルトース投与時には見られなかった。グルコース負荷試験において、タウリンの同時経口投与により通常ラットでは門脈および末梢血中グルコース濃度の上昇は有意に抑制された。一方でストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットでは、タウリン同時摂取によりグルコース負荷試験による門脈グルコース濃度上昇は変化せず、末梢血中グルコース濃度上昇のみ有意に抑制された。以上の結果より、通常ラットにおいてタウリンはスクロース分解由来のグルコース吸収を抑制し、門脈および末梢血中グルコース濃度上昇を減弱させることが示唆された。