講演情報
[2D-03]藍染めであると推測される山村衣服の染料分析ー 滋賀県湖東地域の仕事着から ー
*古濱 裕樹1 (1. 武庫川女子大学)
キーワード:
藍、染料、非破壊分析
「目的」
我が国では近代以前の庶民の衣服に藍染めが多用された。滋賀県湖東地域の空き家から見つかった仕事着は,擦り切れや破れが生じても継ぎ接ぎによって補修が幾重にも繰り返され,変退色の進行も目立ち,ものを大切にする精神によって長く使われてきたことがうかがえる。それら仕事着は藍染風の青色を主とした色彩で構成されているが,藍染めであるかどうか詳細について明らかではない。染織物は貴重な文化財であるため,今回は非破壊手法で染料分析を行った。
「方法」
昭和中期以前のものと推測される仕事着12点を調査対象とした。素材は綿が多いが,麻もある。状態は仕立て途中の未着用のものから使用痕が激しいものまで様々であるが,いずれも空き家から搬出後,水洗して保管されている。1着につき色が異なる複数箇所について,可視反射スペクトルの二次微分スペクトルによって藍など染料のリファレンスデータと照合する手法で染料鑑別を実施した。マイクロスコープで織物表面の拡大観察も行った。
「結果」
今回の仕事着の染料は藍が大半を占めていた。継ぎ接ぎの一部に藍ではない染料が使われている場合もあった。藍の酸化退色物やイサチンを含むリファレンスデータを作成して照合したところ,藍染めだけで染められたのではなく,下染めや交染が疑われるものもあった。いずれも粒子状物質は確認されず,染料のみから染められていた。
我が国では近代以前の庶民の衣服に藍染めが多用された。滋賀県湖東地域の空き家から見つかった仕事着は,擦り切れや破れが生じても継ぎ接ぎによって補修が幾重にも繰り返され,変退色の進行も目立ち,ものを大切にする精神によって長く使われてきたことがうかがえる。それら仕事着は藍染風の青色を主とした色彩で構成されているが,藍染めであるかどうか詳細について明らかではない。染織物は貴重な文化財であるため,今回は非破壊手法で染料分析を行った。
「方法」
昭和中期以前のものと推測される仕事着12点を調査対象とした。素材は綿が多いが,麻もある。状態は仕立て途中の未着用のものから使用痕が激しいものまで様々であるが,いずれも空き家から搬出後,水洗して保管されている。1着につき色が異なる複数箇所について,可視反射スペクトルの二次微分スペクトルによって藍など染料のリファレンスデータと照合する手法で染料鑑別を実施した。マイクロスコープで織物表面の拡大観察も行った。
「結果」
今回の仕事着の染料は藍が大半を占めていた。継ぎ接ぎの一部に藍ではない染料が使われている場合もあった。藍の酸化退色物やイサチンを含むリファレンスデータを作成して照合したところ,藍染めだけで染められたのではなく,下染めや交染が疑われるものもあった。いずれも粒子状物質は確認されず,染料のみから染められていた。