講演情報
[2E-03]家族との新しいコミュニケーションの取り方同じ服を着て思い出を作る
*内田 悦路1、須田 理恵1 (1. 文化学園大学)
キーワード:
衣服の共有、新たなコミュニケーション、スーツ
【目的】兄はダウン症で、言葉でのコミュニケーションをとることは難しい。本研究は、言語の他にコミュニケーションの方法を考える中で、共有の衣服を着用することで感じられることや互いの思い出に繋がるような、新たなコミュニケーションの方法を検討することを目的とした。【方法】兄が所属するダンスチームのメンバーを対象に、日常生活で衣服を着用する際の現状と問題点を把握する為、アンケート調査を実施した。これらの結果より兄と共に着用できるスーツのデザイン立案製作ならびに着用評価を行った。【結語】ダウン症の特徴は、身長や手足、頸、腕などが標準よりも小さく短いことが示唆され、上記のアンケート調査の結果においても、衣服の丈感による問題が明らかとなった。また、スーツ類はオーダーするとの回答も見られた為、兄と共に着用できるように手足の長さの差異を解決するべく丈の調節が可能なデザインを立案製作した。評価では、重量感において兄の場合低評価だったことから、選択した素材と縫製の仕方の検討が示唆されたものの、兄がスーツに腕を通し際にとても嬉しそうな表情が見られ、その瞬間に兄とコミュニケーションを実感し、必ずこの先も着用してくれると思われた。衣服を通じて、言葉以外でもコミュニケーションの取り方の可能性が示された。