講演情報

[2E-06]山村の衣生活資料における藍色の意味滋賀県湖東地域の仕事着から

*横田 尚美1 (1. 滋賀県立大学)

キーワード:

藍、仕事着、衣生活

目的 2023年度第75回大会でも発表したように、筆者は滋賀県湖東地域の山村の一軒の家から見つかった衣生活資料について継続的に研究をしている。 この資料のうちの仕事着に関しては、地の布も当てられた継の布も、濃淡はあるが青から紺色のものが多い。中には何重にもそれが当てられている資料もある。本発表では、これほど青から紺色の服が残されている理由を探りたい。
方法 これまでの仕事着の研究を藍という視点から改めて整理し直すことと並行して、実際に本資料を観察することで、薄い青色から紺色までの服や継の布がどれほどあるかを調査する。この家や親戚の女性に行ったインタビュー調査の内容も取り入れる。
結果 例えば下衣について見てみると、モンペは9着全て薄い青色から紺色である。股引に関しても、14着中11着が青色や紺色である。藍には防虫効果などがあることが知られている。その布が本藍染めだろうとそうでなかろうと、制作者たちは藍と考えてそれを選択しているのではないだろうか。それは、インタビューによってある程度裏付けられる。また、継は裏側で見えないとはいえ色が統一されている方がより良いという美意識も浮かび上がる。それとともに、仕事着を紺地で統一することで、ハレとケのメリハリをつけるという意味もあると考える。(科研費課題番号 20K13803)