講演情報

[2F-01]街路空間改善へ向けた住民の意見聴取の仕組みパリ市EVQ事業について

*原 わかな1、野平 勝1 (1. 一般財団法人国土技術研究センター)

キーワード:

住民参加、生活道路、道路政策

目的 人が優先される道路空間の創出の推進には、地方公共団体が地域の課題を的確に把握した上で、地域の合意を得ながら適切な対策を進めて行くことが重要である。この実現へ向けた海外の先進事例として、小学校区等をエリア範囲として生活道路等の大改造に取り組んでいるフランス・パリ市のEVQ(あなたの地域を美しくするプロジェクト)の取組みに着目し、住民の意見の聴取方法や実施体制等について調査した。
方法 文献調査、パリ市行政及び外郭団体へのヒアリング及び現地調査を実施した。
結果 EVQは現状診断、事前協議、計画素案、関係者協議、詳細検討、着工の6段階を基本的なプロセスとしており、この流れの中で、住民が関与するタイミングや場が複数設けられている。地域における問題点やそれらの解決策の案等について幅広く収集し、ウェブプラットフォームによる情報公開をしつつ、最終的な案へ収束させていく仕組みが構築されている。特に、集会等に参加しない“普通の人”の意見聴取のための工夫として、朝市や学校前で実施する“Map on the Table”を重視している。また、多様な住民の意見を取入れており、小学生を対象にしたまち歩きを授業時間で実施している。これらの取組みを実際に行っているのが、パリ市の外郭団体であり、特に子供達を対象とし、建築学、都市計画学、環境学上の知識の伝搬、共有の活動を実施している専門家で構成された組織である。