講演情報

[2F-03]居住支援のためのインスペクションー居住者とリフォーム業者アンケート調査の考察ー

*浅見 美穂1 (1. 日本女大)

キーワード:

戸建て住宅、持ち家、リフォーム、住居管理

目的
既存住宅のインスペクションは、住宅の売買契約前の状況調査として普及しつつある。引渡し後のトラブル防止の狙いもあるが、インスペクションにより我が家の現状を知ることは、継続居住を目指す居住者支援の役割もあることを検証する。

方法
首都圏一都三県の都市部の戸建て住宅(持ち家)の居住者を対象としたアンケート調査と、住宅リフォーム業者を対象としたアンケート調査の結果を分析する。

結果
戸建て住宅の居住者の約7割が、住まいに気になる箇所があるが継続居住を望んでいる。修繕時期の認識や修繕費用の準備をするのは2割以下で、維持管理の知識源として身近な施工者の専門性に期待している。竣工後10年以内の定期点検は実施されるが、その後長期に渡り業者と繋がりがあるのは稀である。築30年超の住宅の居住者は、生活の変化や老朽化への対応も広範囲になり、リフォーム費用も高額になる。
住宅リフォーム業者は、専業なのは約1割で多様な業態や居住者との関わり方がある。顧客の困り事への対応として、約6割が相談や建物診断・調査依頼に応じている。居住者への維持管理計画のための情報提供やセルフメンテナンスの啓蒙を意識した取り組み例もあるが、無償サービスなのか位置づけが曖昧である。
居住者と住宅リフォーム業の専門家を公的なインスペクションの仕組みで繋ぐことで、各々の我が家の困り事に直結した居住支援ができ、良好な住宅ストック形成に寄与できる。