講演情報

[2G-02]家庭科教員の子育て経験の有無による保育の指導の変化について

*室 雅子1 (1. 椙山女大)

キーワード:

家庭科教員、保育、子育て

【目的】家庭科の保育の内容の指導に関しては得意とする教員が多く、得意な理由は自己の子育て経験という回答が多いと複数の調査から報告されている。一方で、苦手であるとする教員は子育て経験がないことや自信の無さを理由として挙げている。では、家庭科教員が子育てを経験する前後において、具体的にはどのような心境や思考の変化が生じているのであろうか。またそれは授業展開にどう影響を与えているのであろうか。本研究では、家庭科教育の保育の指導に際し、家庭科教員が個人的に子育て経験を持つ前と後に生じた変化を明らかにすることを目的とした。
【方法】現職の家庭科教員に半構造化インタビューを実施し、質的分析を実施した。調査時期は2024年5月~6月である。
【結果】子育ての経験により、子の発達・成長見た経験が教員自身の授業内容の具体的理解を助け、授業時にエピソードとして事例を出せることなどから自信が持てるようになるだけでなく、教科書には子育てに関わる負の事象記述が少ないことへの気づきや教科書の記述に対する批判的思考が生じていた。また、子育て前は教科書の記載事項を「そうらしい」と伝聞的伝達を行う授業や、ものづくりなどの傾向があったが、事後は保育を通して学ばせたい授業内容の力点が変化するなど、保育を教える意義への意識転換をもたらしていた。