講演情報

[2G-07]ドイツの中等教育における職業教育・家庭科教科書の分析

*小田 奈緒美1 (1. 金城学院大学)

キーワード:

教科書分析、家庭科教育、ドイツ

【目的】
日本の家庭科では、消費生活と環境領域の時間数が十分に確保されず、実践に繋がらないことが課題となっている。ドイツは早くから優れた環境教育を実施しており、環境に配慮できる資質を備えた市民の育成が求められている。本研究は、ドイツの教科書の内容を分析することで、日本の家庭科教育の改善点を見出し、新たな視点を得ることを目的とする。
【方法】
本研究は、ドイツの2つの教科書会社から発行されている5学年から10学年までの職業教育・家庭科(職業研究)の教科書28冊 を対象とする。ベルリンとブランデンブルク州、ノルトライン=ヴェストファーレン、バーデン=ヴュルテンベルク州、バイエルン州の4つの地域で採用されている教科書の特徴や掲載内容を比較する。
【結果】
本調査の結果、1学年ごとの教科書のページ数が最も多かったのはバイエルン州で143~159ページ、ベルリンとブランデンブルク州、ノルトライン=ヴェストファーレン州は30~40ページ程と3倍以上の差があった。掲載内容は、技術が7冊、消費は28冊、食物14冊、環境は10冊、被服は4冊、住居は1冊、家族は0冊であった。ドイツでは州により教育内容が異なり、各州の教育省が教育政策を決定するため、伝統的な家政学、消費者教育、技術教育など、州ごとに重点が異なることがわかった。環境教育は、家庭科の教科書では掲載率は低く、地理や生物学、など他教科で習うことが示唆された。