講演情報

[2I-06]子育ての理解を深め子育て支援の在り方について考察するための効果的な指導法の工夫高校「家庭基礎」における新生児ロボットや新生児人形を活用した疑似体験の事例から

*西田 寛子1 (1. 東京学芸大学)

キーワード:

新生児ロボット、新生児人形、子育て支援制度、育児疑似体験

【目的】高校生が子育てについて理解し,子育て支援制度について考察するために,新生児ロボットや新生児人形を活用した育児の疑似体験が効果的であるかを検証する。新生児ロボットは,東海大学情報理工学部准教授小坂崇之氏が考案したものを使用した。【方法】東京都の中等教育学校5年生(高校2年生)114名の家庭基礎の授業で2025年1〜2月に実施。授業前後の調査結果,授業のワークシートの記述を分析した。【結果】授業前,乳幼児について「抱っこ」の経験がない生徒は45%で,「授乳」「おむつ替え」「着替え」の経験がない生徒は約70%であった。また,子育ての不安で多かったのは「泣く時」であった。授業後の感想では,「赤ちゃんが泣いたときにどうしたらよいかわからない感じ」が理解できた「子育ての疑似体験は将来親になるときに役に立つ」というものが多かった。さらに,「男性の育休は必要だ」「制度について学ぶ必要がある」「子育て支援制度があまり利用されていないことに対する関心や問題意識を強く感じるようになった」が多かった。【考察】疑似体験ではあるが,育児の不安の解消や,夫婦が育休を取る必要性への気づきに役立っていると考えられる。子育ての疑似体験により,子どもを持つことに対する不安が緩和されると考える生徒もおり,少子化対策への意義も感じられる。特に,新生児ロボットによる,あやしたりミルクをあげたり試行錯誤する体験が効果的であると考えられる。