講演情報

[P-053]家庭用電子レンジを用いた天然染料の染色方法の検討紅茶による綿布の染色

*佐々木 麻紀子1 (1. 東京家政学院大学)

キーワード:

天然染料、紅茶、電子レンジ、手工芸染色、染色ムラ、染色堅ろう度試験

目的 本研究では、季節や地域などに左右されずに比較的安価に入手しやすい素材として紅茶を取り上げ、従来の加熱浸染と電子レンジによる染色とを比較し、基本的な染色条件および染色方法の検討と各種堅ろう度試験を行い、その実用性を明らかにすることを目的とした。 方法 紅茶抽出液は市販紅茶を煮沸抽出し濾過して作成した。試布はJIS染色堅ろう度試験綿カナキンを使用し50℃のイオン交換水で洗浄して染色に供した。浸染染色は80℃、染色時間10分~60分とし、電子レンジ染色は500Wで1分~10分、浴比を変化させて加熱を行いその影響を比較した。得られた染色布のL値、a値、b値を色差計NR12A(日本電色株式会社製)により測定し染色布の明度及び色相を評価した。各堅ろう度試験は、JIS染色堅ろう度試験法に準じて行った。 結果 これまで電子レンジ染色では、浴比が小さくても染色が行えるが染色ムラが生じやすいという問題があったが、加熱途中で布を動かすなどの操作を追加することでムラ染を防ぐ効果があった。高温になるほど染色布のL値は小となる傾向が認められ、染色温度の効果は比較的大きいため短時間染色の場合あらかじめ染色液を一定温度にしておく必要があった。摩擦及びホットプレッシング堅ろう度試験ではいずれも4級以上であり、電子レンジによる紅茶染色は実用上問題ないことが確認できた。