講演情報

[P-059]仙台地方の染型紙の保存とデジタルアーカイブス印袢纏用染型紙のデジタル化について その1

*川又 勝子1、佐々木 栄一2 (1. 東北生活文化大学、2. EHS高材研)

キーワード:

型染め、染型紙、印袢纏

目的 明治期から昭和期にかけて、仙台地方では印染が多数染められていた。その染物は殆ど残されていないが、染色に用いられた染型紙が多数残されている。これらは長期間染工場内に保管されてきたものであるが、劣化が進み破損個所も多い。今後も劣化が進むことは確実であり、できるだけ早く調査・分類とデジタル画像保存を行うことが必要である。本研究では、仙台市内の染色工場から寄託された印袢纏染色に用いられた染型紙(以下袢纏型紙)の調査とデジタルアーカイブ構築に取り組んだ結果を報告する。
方法 調査対象は武田染工場(仙台市若林区)から寄託された袢纏型紙361枚とした。これらの資料について、①ドライクリーニングとフラットニング、②写真記録、③資料計測、④大判スキャナを用いたデジタル画像収録を行い、収録したデジタル画像を用いて文様調査を行った。
結果 計測の結果、ヨコ幅の寸法で型紙は大きく2つに分類することができ、62㎝以上の型紙は腰柄に用いられた型紙、56㎝以下の型紙は背紋に用いられた型紙であることが示唆された。彫られた模様をみても、背紋はいずれも背縫い代分が勘案されて1枚または2枚で一つの文様を表現するようになっていた。背紋227枚(62.9%)、腰柄129枚(35.7%)であり、今回対象とした型紙には、衿文字や袖柄、総柄の型紙は殆ど見られなかった。
 本研究は、JSPS科研費22K02101の助成を受けて行った。