講演情報
[P-081]古代中国の服飾における菱形デザインの展開
*水野 夏子1 (1. 大阪樟蔭女子大)
キーワード:
菱形、古代中国、染織
目的 古代中国の服飾において、考古資料としては戦国時代前後より、多様な菱形デザインが施されていることが確認されている。しかし、これまでに服飾に施された菱形デザインの特徴や菱形という要素の意味などについての考察は行われていない。そこで本研究では、日本の菱形文との比較分析も試みながら、古代中国の服飾に多用された菱形デザインの展開内容、また幾何学文として扱われる菱形の装飾・ビジュアルとしての表現内容について考察する。
方法 考察にあたっては、主に唐代までの文献史料と図像史料、および遺物(染織品)を通して調査・分析を行った。
結果 古代中国の服飾(唐代まで)に見られる菱形デザインは、諸子百家をはじめとする各思想の変化とその細分化に従い、デザインが多様化していったことが推察される。また、中国大陸において繁栄していた地方文化の特色(楚文化)や、異民族・外来文化との接触に伴う影響が反映されていることが窺える。古代中国の菱形デザインは日本の菱形文の形成へと繋がってはいるが、日本における菱形とは異なる展開を呈しており、植物としての菱を図案化した形態や菱自体に込められている意味合いとの関係性からの系譜というよりも、山岳信仰からの影響や吉祥物としての捉え方などの表現内容を有しながら、日本よりもバリエーションに富み種々に展開してきたことが読み取れる。
方法 考察にあたっては、主に唐代までの文献史料と図像史料、および遺物(染織品)を通して調査・分析を行った。
結果 古代中国の服飾(唐代まで)に見られる菱形デザインは、諸子百家をはじめとする各思想の変化とその細分化に従い、デザインが多様化していったことが推察される。また、中国大陸において繁栄していた地方文化の特色(楚文化)や、異民族・外来文化との接触に伴う影響が反映されていることが窺える。古代中国の菱形デザインは日本の菱形文の形成へと繋がってはいるが、日本における菱形とは異なる展開を呈しており、植物としての菱を図案化した形態や菱自体に込められている意味合いとの関係性からの系譜というよりも、山岳信仰からの影響や吉祥物としての捉え方などの表現内容を有しながら、日本よりもバリエーションに富み種々に展開してきたことが読み取れる。