講演情報
[3D-04]災害時に寺院が避難所として果たす役割について
*佐桑 あずさ1 (1. 横浜国立大学)
キーワード:
寺院、避難所、防災
【目的】災害時に生活の場となる可能性のある避難所は精神面・肉体面で重要な役割を果たす。しかし近年は避難者のあふれや、想定する避難者数を正しく把握できていないという避難所不足も課題となっている。特に人口の多い都市部において代替避難所の必要性が指摘されており、自治体と各都道府県の仏教会が災害時の施設提供等の協力に関する協定を締結する例もみられる。本研究では、実際に寺院の避難所の活用に動き始めているY市H区を対象に調査を行い、寺院の避難所としての活用する際の実態について明らかにする。【方法】2025年1月に自治体と仏教会が災害時の施設提供等の協力に関する協定を締結したY市の行政と寺院の双方に対する聞き取り調査を実施した。行政に対する調査は令和6年10月、寺院へは令和6年10月~1月の間に行った。【結果】行政側は寺院で車中泊避難のための駐車場等の提供を期待しており、東日本震災時には遺体安置所としても活用された例から、万が一のためにその役割も想定していた。多くの寺院は本堂や別館合わせて50人~60人程度収容でき、庭園や駐車場も含め広大なスペースを提供できる状況であった。H区の地理的な特徴として、指定避難所までのアクセスが悪い場所もあり、自宅から近い寺院の避難所としての有効性が伺えた。寺院は家族経営のため、長期間避難所として運用する事は難しく、一時的な避難所としての活用が現実的であった。