講演情報

[3E-05]和服の多様な着装方法についての検討

柴田 優子1、*渡邉 菜奈湖1 (1. 和洋女大)

キーワード:

和服、着崩れ、多様性

目的 これまで和服はデザイン(色柄・構成)や着装方法により性別で区別されてきた。一方で、近年は性の多様性の観点から、性別の垣根を越えたファッションスタイルや考え方が広まりつつあり、学校教育における家庭科の授業の中でも、性別で着る物や着方を分けて指導をすることができなくなってきた。そこで、浴衣を性別で分けないで着装した場合の問題点を明らかにし、従来の性別で区別した和服の着装にこだわらない、時代にあった和服の着装を探ることとした。
方法 20代男女3名ずつを被験者とし、被験者の身丈に合った浴衣を様々な着装状態で日常動作をした場合の着崩れを調査することとした。各被験者は性別に関わらず、長着(男物・女物)、帯(角帯・半幅帯)、帯の締め位置(腰・ウエスト)が異なる8種類の着装をし、日常動作を行った。身体と浴衣につけたマーカーをAzure Kinect DKで撮影し、ICpro-Analyzeで数値化して、日常動作前後の差異から着崩れを捉え、分析した。
結果 実験結果から、性別によって着崩れが起こりやすい着装には違いがあることが明らかとなった。女性が従来の男性の着方をすると着崩れしやすく、着装方法としてはふさわしくなかった。これは性別による体形の違いの影響と考えられる。一方で男性が従来の女性の着装方法をしても着崩れは少なく、従来の性別により区別した着装にこだわらなくてもよい可能性も示された。