講演情報

[3G-02]Dispersion methodによる織物の全方位力学物性評価

*赤坂 修一1、平林 渉1、浅井 茂雄1 (1. 東京科学大学)

キーワード:

織物、力学物性、Dispersion method、ラム波

【目的】織物は経糸、緯糸が直角に織られた直交異方性を持つ平板状の材料である。糸軸方向に対して、糸軸以外の方向では、経糸、緯糸の交差角の変化により、伸長しやすく、弾性率は大きく低下する。実使用条件においては様々な方向から張力が作用し変形するため、糸軸以外の方向の力学物性評価も重要であるが、既存の測定法では評価が困難である。そこで本研究では、Lamb波の伝播挙動から力学物性を評価するDispersion methodを用いて、任意の荷重条件における織物の全方位力学物性を計測可能にすることを目的とした。
【方法】サンプルには綿ブロードを用いた。荷重条件は一軸荷重(緯糸、経糸方向)、二軸荷重とし、荷重は3.6、9.0、15.4 cN/mmとした。Dispersion methodは、音波等により励起されたLamb波の伝播速度の周波数依存性に理論式をフィッティングすることで弾性係数テンソルを得る手法である。Lamb 波の面外振動速度を各方向に沿って測定し、伝播速度の周波数分散を得た。
【結果】既存の引張試験では、大きな変形を与えるため、糸軸方向に対して、糸軸以外の方向で弾性率が低下するが、本測定で計測した弾性率の方位依存性では、経糸、緯糸方向を長軸、短軸とする楕円形を示した。本測定では、微小な力で加振するため、交差角の変化が小さく、印加した荷重条件による変形状態での全方位力学物性が得られることが分かった。