講演情報

[3G-06]乳児の子連れ出勤が親と子に及ぼす影響経験者の事例から

*光畑 由佳1 (1. お茶の水女子大学)

キーワード:

子連れ出勤、ワーク・ファミリー・ボーダー理論、仕事と育児の両立

目的
本研究は、乳児の子連れ出勤が親と子に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。「子連れ出勤」は、保護者が子の世話をしながら働く手法である。本研究では、ワーク・ファミリー・ボーダー理論の枠組みを用い、仕事と家庭の境界の柔軟性と浸透性が親の育児負担感、子の発達に与える影響を検討する。

方法
本研究では、乳児の子連れ出勤を経験した親6名をに半構造化インタビューを実施し、質的分析を行った。データ分析にはワーク・ファミリー・ボーダー理論を適用し、境界管理の観点(柔軟性・浸透性)から親の体験や意識の変化を整理した。また、子の発達や社会性の変化についても親の視点を通じて分析した。

結果
分析の結果、子連れ出勤は、仕事と家庭の境界を柔軟にすることで、親の心理的負担感を軽減し、自己肯定感の向上や社会的つながりの強化につながることが示された。また、浸透性の適切な管理により、親の孤立感や罪悪感が軽減し、子にとっても社会性が育まれるなどの肯定的な変化が確認された。一方で、子の成長に伴う仕事の生産性低下が課題として挙げられた。また、待機児童問題や育休制度の対象外となる親にとってのセーフティネットとしての役割を果たす可能性が示された。