講演情報

[経・社-S-1]「これからの学校像」からみた学校教育/体育の再編

*本田 由紀1 (1. 東京大学)
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<演者略歴>
東京大学大学院教育学研究科教授、日本学術会議連携会員。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。日本労働研究機構研究員、東京大学社会科学研究所助教授等を経て、2008年より現職。専門は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行う。
日本の教育は垂直的序列化と水平的画一化が浸透している現状にある。前者は「学力」や「主体性」等による優劣の軸で児童生徒を評価する視線の充満を意味し、後者は特定の「態度」や人間像を望ましいものとして要請する圧力の充満を意味する。これらは児童生徒の出身家庭の諸資源による格差や排除を生み出すという点でも問題であり、また急増する不登校やいじめ、自殺などの要因ともなっている。これらの陰で、過少になっているのが水平的多様化、すなわち個々の児童生徒の特性や意思、感情などを尊重した自由度が高くきめ細かい学習のあり方である。水平的多様化は、単元別自由進度学習や探究学習において部分的に導入されつつある。
 こうした現状理解を体育に当てはめるならば、体育もまた身体能力に基づく序列化・競争や、一斉行動および積極性の要請など教育全般の問題性を色濃く反映しており、ジェンダーとも絡み合いながら「体育嫌い」を生み出していることが指摘されている。個々の児童生徒の身体性の尊重、様々な形態で体を動かす楽しさなど、水平的多様性を取り入れたこれからの体育のあり方を実現してゆくためにはいかなる条件が必要かについて考察する。

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