講演情報

[競技スポーツ-B-06]スポーツタレント発掘・育成事業の育成プログラムと支援体制の構築に関する質的研究(社,コ,政)シンガポールにおける事業の品質管理とリスク管理の事例から

*小野寺 峻一1,2、友利 杏奈1,2、萩原 正大1,2、山口 真未1,2、山下 修平1,2、原村 未来3、白井 克佳1,2 (1. 日本スポーツ振興センターハイパフォーマンススポーツセンター、2. 国立スポーツ科学センター、3. 明治学院大学)
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オリンピックや世界選手権大会などの国際的なスポーツイベントでは、国家的支援を受けたスポーツ強豪国がメダル獲得を目指して熾烈な争いが行われ、しばしば「The Global Sporting Arms Race」と評されている。こうした競争の中で、各国は自国の社会的・文化的文脈に応じたアスリート育成パスウェイの構築を進めている。アスリートが国際舞台で成果を収めるためには、スポーツタレントの発掘・育成に関する事業(タレント発掘・育成事業)の卓越性と効率性がより一層求められている。
このような事業運営の卓越性と効率性を支える要素として、品質管理とリスク管理が挙げられる。品質管理は、サービス・人材・プロセス・環境等の質を継続的に向上させることにより、組織の競争力と持続可能性を高めるものである。リスク管理は、事業の目標達成を妨げる潜在的な要因を特定し、それを軽減・排除するための体系的な取り組みである。こうした視点に基づくマネジメントは、アスリート育成の長期的成功において不可欠であると考えられる。
しかし、日本を含む多くの国々では、タレント発掘・育成事業における検証は限定的であり、とりわけ事業が直面する課題と、それを克服するためのプロセスに関する知見は乏しい。したがって、継続的かつ長期的にタレント発掘・育成事業を行っている諸外国の事例を詳細に分析することは、我が国の事業推進に役立つ可能性がある。
そこで本研究では、2004年に設立されたスポーツスクールを中心に、国を挙げて長期的なタレント発掘・育成事業を推進するシンガポールを先行事例として取り上げる。具体的には、アスリート育成に包括的に取り組む同国の政府系スポーツ組織の関係者に対して半構造化インタビューを実施し、品質管理とリスク管理の視点から、事業の課題と促進要因を明らかにすることを目的とする。

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