講演情報

[健康福祉-SB-3]性別や障がいの有無にとらわれずスポーツをする権利を支える周囲の理解

*宮嶋 泰子1 (1. 一般社団法人カルティベータ)
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<演者略歴>
テレビ朝日にアナウンサーとして入社後、ニュースステーションや報道ステーションのスポーツ特集を制作するディレクター兼リポーターを務める。早稲田大学非常勤講師、順天堂大学客員教授を歴任後、現在は日本女子体育大学招聘教授。一般社団法人カルティベータ代表理事、スポーツ文化ジャーナリスト、かめのり財団理事長。
2028年のロサンゼルスオリンピックでも男女混合の競技種目が増えてきた。男性も女性も平等にスポーツをする機会を持てるようにという理念はオリンピックによって牽引されてきたと言ってもいいだろう。長い間日本の学校体育の現場では世界の潮流とは異なり男女別習が行われてきたが、ダンスと武道が必須となり、男女共修の目的や理念も理解されるようになり、子ども自身や親の考えにも変化が表れてきた。しかし、中学女子の三分の一は身体活動が週に60分未満という調査結果もあり、運動嫌いの女子が存在することは否めない。部活動の地域展開が行われる中、特別な用具がなくてもできる体操やダンスは民間クラブなどでも人気だ。世界でも類を見ない見事な動きのハーモニーを見せる日本の男子新体操を行う子ども達の中に最近では女子の姿が見られるようになってきた。女子の新体操といえばレオタードに種具をもって華麗に演じるものであったが、男子新体操を行う女子たちは黒いスパッツの地味な衣装を着てバク転や静止技を繰り出していく。ここで大切なのは指導者の考え方だ。子ども達がやりたいと言ったときに指導者はどのような声掛けをしているのか。2024の大会で女子だけのチームが優勝して周囲を驚かせた。
 長きにわたり女子種目であったアーティスティックスイミングにも今では男子加入が認められているが、1990年代に米国で一人の男子選手が女子だけに許されていた重い扉をこじ開けた。その指導者はどのように彼をサポートしたのか。選手への言葉がけは常にやりたいという意思を尊重するものだった。さらには指導者だけではなく、選手達が大会に出場できるように国内ルールを作って尽力してきた役員たちの存在も忘れることはできない。
 またダウン症の障害を持った子ども達に運動の機会を積極的に与えている親の考え方など、本来誰もが持っている「スポーツをする権利」について改めて考える。

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