講演情報
[14介-口-09]地方高齢者の歩行・活動量の実態と健康維持の課題
*花岡 美智子1 (1. 東海大学)
目的:高齢者にとって、生活をしていく上での交移動手段の確保は重要な問題である。特に地方では自家用車の免許返納後、代替交通手段が不十分なため、生活圏が縮小し活動量が低下する恐れがある。本研究は、地方に住む後期高齢者の1日の歩数と身体活動量を測定し、健康づくりの現状と課題を明らかにすることを目的とした。方法:地方在住の後期高齢者1名(81歳女性)を対象に1日平均歩数、消費カロリー、運動時間の計測を実施した。測定期間は2025年1月〜5月の計117日間である。得られたデータを全国平均と比較、また季節や時間帯による影響についても検討していく。結果:1日平均歩数の平均値は2589.2±1192.95歩、1日歩数時間は平均61.5±24.62分、運動強度別では、3METs未満が平均236.3±138.99分、やや強度のある運動(3METs以上)は平均7.1±13.69分であった。考察: 厚生労働省は、75歳以上の女性の平均歩数が3,584±2,737歩、65歳以上の女性の1日の歩数目標値は約6000歩と示している。対象者の歩数は目標の43.2%に留まり、やや強度のある運動は1%未満と非常に少ない結果であった。これは81歳という高齢から通常の歩行速度が遅かったことが影響していると考えられる。国土交通省は80歳代女性の歩数中央値は、15万人以上の市で2373歩、人口5万人未満の市では1607歩であり、都市部高齢者は地方に比べ歩数が多い傾向があることを報告している。対象者の歩数はそれを上回っていたが、免許返納に伴い自転車移動が中心となり、活動範囲が縮小、天候や時間帯に活動が制約されている現状が明らかとなった。結論:高齢者が活動量を確保する為には、本人の意欲に加えて、移動のモチベーションを高めるコミュニティの形成や、天候に左右されない公共交通サービスの充実が必要である。
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