講演情報

[11教-口-03]卓球初心者指導におけるフォアハンドドライブ技術要素の評価基準の信頼性の検討感覚経験型指導法を卓球指導場面に導入するための事前研究

*陳 仁溥1、深見 英一郎1 (1. 早稲田大学)
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卓球指導における「感覚経験型指導法」の導入を目指し、初心者のフォアハンドドライブの技術要素(ツボ)とその評価基準の信頼性を検討した。ツボは筆者(中国国家一級運動員)と日本卓球協会公認コーチⅣ級が先行研究を参考に、「準備段階(構え動作・予測的移動)」「バックスイング段階(体重移動・ラケットの位置)」「スイング段階(前腕の回転・体幹の回転)」に分類した。評価基準の表現はスポーツ教育学を専門とする大学教員の助言を受け修正した。 卓球学習者20名を対象に一点打ちと二点打ちの映像を撮影し、予測的移動は二点打ち、それ以外のツボは一点打ちで三段階評価した。各ツボは20球中、特定基準を満たす打球が10球以上であればその評点とした(例:構え動作で膝を適度に曲げ前傾姿勢をとったフォームでの打球が10球以上なら「3」)。評価は日中4名のコーチ(日本卓球協会公認コーチⅡ・Ⅲ級各1名、中国国家一級資格のコーチ2名)が担当し、事前に共通理解を図った。 信頼性分析には、ICC(級内相関係数)のうち、評価者間の一致度を示すICC(2,1)を用いて分析した。その結果、構え動作(0.842)、予測的移動(0.898)、体重移動(0.850)、体幹の回転(0.811)は「良好」、ラケットの位置(0.698)と前腕の回転(0.690)は「可能」だった。ラケット位置のICC低下は、後方撮影によりラケットの振り幅が視認しづらかった点が要因とされる。前腕回転では、評価者の指導対象のレベル(初心者/熟練者)の違いにより、加速動作の基準に差が生じたと考えられる。今後は側面撮影の導入や、前腕加速の数値化による基準の客観化が課題である。

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