講演情報

[11教-口-28]小学校低学年を対象とした形成的授業評価法の開発同一項目に対する児童と教師の評価値の比較を元に

*七澤 朱音1 (1. 学習院大学大学院・千葉大学)
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体育授業の単元中の学習成果を見取る「形成的授業評価」で、低学年児童を対象とした学術研究は稀少である。これは、認知発達過程の途上にある低学年児童には、認知的負荷や記憶容量の関係から評価研究で不可欠な「評価の真実性」等の検証が難しいからだと考えられる。しかし国語科では、視覚情報を用いることで低学年でも自身の読みに対するメタ認知的活動が可能になることが示されている(村田、2022)。この成果を応用し、低学年段階から体育授業を評価することができれば、全学年を通して児童が自身の学びを把握し調整する資質・能力の向上につながると考える。本研究では「低学年児童対象の形成的授業評価票」(七澤、2024)を用いて授業実践を行い、同一尺度に対して行った児童と教師の評価値を比較分析することにより児童の評価の「真実性」を検討すること、さらに教師の立場から見た「実行可能性」を検討することを目的とする。
授業は令和6年10月から令和7年3月まで実施した計8単元で、調査対象はB小学校第一学年2組(各23名)、第二学年2組(各26名)、計4組(計98名)と教師4名である。評価尺度は、現行の「形成的授業評価」(小学校中学年以上対象、学術的成果が認められている方法)のLikert Scale(三件)と、医療現場で五歳から利用可能とされるVisual Analog Scale(VAS変法)を用いて、授業終了直後に評価を行った。児童と教師の評価値を分析した結果、LSでは両者ともにほぼ全項目の解答が「はい」に集まる傾向が認められた。一方、VASでは両者ともに項目間の評価値にばらつきが見られ、両者の評価値の変容が単元を通して類似していく傾向が明らかになった。「実行可能性」については、両尺度とも調査期間が長期化すると児童の興味が低下する傾向があること、さらに教師間で捉え方が異なることが明らかになった。

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