講演情報
[03心-ポ-13]フランカー課題における色の違いが選択的注意に与える影響
*坂部 崇政1、高井 秀明2 (1. 京都教育大学、2. 日本体育大学)
フランカー課題は、選択的注意や抑制機能を測定する代表的な実験パラダイムである。フランカー課題では、中央の標的刺激と周辺の妨害刺激が同じ場合(一致試行)に比べて、異なる場合(不一致試)において反応時間が遅延することが知られている。スポーツ場面においても、不要な情報の処理はパフォーマンスの阻害要因となりうるが、その際にユニフォームや用具、コートなどの色の要素が情報処理に影響を与える可能性がある。そこで本研究では、フランカー課題における色の操作が選択的注意に与える影響について検討した。実験参加者は、体育学専攻の大学生10名であった。フランカー課題では、白色背景のディスプレイ中央に5つの記号刺激(「<」または「>」)が横一列に呈示された。色の操作では、すべて同じ色で表示される「黒一色条件」「赤一色条件」「青一色条件」、標的刺激が赤で妨害刺激が青の「標的赤条件」、標的刺激が青で妨害刺激が赤の「標的青条件」の5条件を設定した。課題の試行数は、各条件60試行の計300試行とし、終了後には刺激の視認性についてVASで記入させた。実験参加者の課題は、標的刺激が「>」の場合は右ボタン、「<」の場合は左ボタンを素早く押すことであった。その結果、視認性は標的刺激と妨害刺激の色が異なる2条件で高く、特に標的赤条件は赤一色および青一色条件よりも有意に高値を示した。一般的に白色背景に対しては、反対色である黒一色条件の視認性が高いと予想されるが、フランカー課題ではいかに妨害刺激に干渉されないかが重要であるため、標的刺激が強調されやすい標的赤条件の視認性が高まったものと推察される。同様に、標的赤条件および標的青条件の反応時間は、わずかではあるが他の条件よりも短く、前述の視認性が影響したといえる。これらの結果から、色操作による標的刺激の視覚的特異性が選択的注意を促進させる可能性が示された。
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