講演情報

[03心-ポ-15]タイムプレッシャーの強度が精神的負担に及ぼす影響スタンバーグ課題による検討

*大久保 瞳1、高井 秀明1 (1. 日本体育大学)
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競技者には時間的制約がある状況下で、最適な意思決定が求められる。とりわけ、タイムプレッシャー(TP)は、競技者の精神的負担を増大させ、パフォーマンス発揮を阻害する要因の一つとされている。しかしながら、TPと競技者の精神的負担に関する先行研究はあまり見受けられない。そこで本研究においては、TPの強度が精神的負担に及ぼす影響をスタンバーグ課題から検討した。実験参加者は、体育系のA大学に所属する学生23名(男性12名、女性11名)であった。課題にはTPの強度を操作したスタンバーグ課題を用いた。スタンバーグ課題では、3、5、7文字の大文字アルファベットからなる無意味な文字列を記憶し、その後に呈示される1文字の小文字のアルファベットが記憶した文字列に含まれていたか否かによって左右のボタンを押し分けるよう求めた。TPの強度は400、500、600、700、800 msとし、各条件64試行実施した。また、精神的負担を評価するために日本語版NASA-TLX(芳賀・水上、1996)を記入させた。その結果、フラストレーションの得点において、TPの強度が500、600、700、800 msでは7文字条件は3文字条件より有意に高い値を示したが、TPの強度が400 msでは有意な差は認められなかった。また、3文字条件におけるTPの強度が400 msは700、800 msより、5文字条件におけるTPの強度が400 msは600、700、800 msより有意に高い値を示したが、7文字条件では有意な差は認められなかった。以上のことから、TPの強度が高い場合には記憶負荷(文字数)による影響を受けないこと、そして、記憶負荷が高い場合にはTPの強度による影響を受けないことが示唆された。よって、TPの強度と記憶負荷の間には、一方の負荷が高まることで他方の負荷が抑制されることが明らかとなった。

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