講演情報

[03心-ポ-35]目標達成を目指す大学生アスリートにおける個人特性に応じた認知的方略選択の重要性

*大塚 理瑚1、幾留 沙智2、渡邉 諒2,3、中本 浩揮2 (1. 鹿屋体育大学大学院、2. 鹿屋体育大学、3. 日本学術振興会特別研究員(PD))
PDFダウンロードPDFダウンロード
一般に,目標達成にはポジティブな姿勢が有効とされるが,悲観的な特性の者もそうすべきかについては疑問が残る.先行研究では,防衛的悲観主義(DP)の観点から楽観的な方略に加え悲観的な方略の有効性も示されており,DP方略採用者は楽観方略採用者と同程度の潜在的自尊心を示すとの報告もある.これは潜在的に楽観的な特性の者がDP方略を採用することの有効性を示唆するが,これまで特性と方略の両側面を同時に測定し,目標達成との関係を検討した研究は見当たらない.そこで本研究では,大学生競技者の目標達成に関連する特性(潜在・顕在)と方略の組合せを明らかにすることを目的とした.大学生競技者16名を対象に,潜在的な楽観・悲観を評価する潜在連合テスト,楽観・悲観性尺度,認知的方略尺度,及び昨シーズンの目標達成度の回答を得た.目標達成度は,成績,体力,技能の3側面について主観的達成度を0~100%のVASで評定させた.潜在連合テスト及び各尺度の結果より,各対象者の特性(楽観,悲観)及び認知的方略(DP,方略的楽観:SO,真の悲観:RP,非現実的楽観:UO)を分類し,平均目標達成度を比較した.結果として,顕在楽観者ではSO (67.51±17.70%)とDP(63.96±17.96%)の達成度が同程度であったのに対し,顕在悲観者ではDP(57.75±19.14%)がSO(74.41%)より達成度が低いことが示された.さらに,潜在悲観者はRP(41.67±8.33%)が他(DP: 75.70±6.22%,UO: 75.00%,SO: 61.34±16.30%)より達成度が低く,潜在楽観者はSO(80.21±5.79%)がDP(49.92±17.47%)より達成度が高いことが示された.以上より,潜在・顕在どちらの特性を考慮しても,悲観者は悲観方略(DP,RP)の採用に注意が必要である可能性が示唆された.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン