講演情報
[03心-ポ-37]スポーツ競技における失敗の価値観尺度の信頼性・妥当性の検討
*柴原 健太郎1 (1. 北九州市立大学)
【諸言】スポーツ競技において,競技者は日々の練習や試合の中で様々な成功・失敗を繰り返し経験する(伊藤,2008)。特に失敗は試合の勝敗に関係することもあり,競技者にとって非常に重要な要素であると言える(遠山ほか,2013)。柴原ほか(2019)は,選手が失敗に対してどのような価値観を持っているかによって,その後の行動やパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があると述べており,スポーツ競技における失敗に対する価値観を測定する尺度の作成を試みている。【目的】本研究では,柴原ほか(2019)が作成したスポーツ版失敗観尺度の基準関連妥当性および再検査法による信頼性の検証を行うことした。【方法】対象者はA大学に所属する体育専攻学生758名(男性452名,女性306名;平均年齢20.7±0.8歳)であった。なお,1回目の調査に回答した100名(男性67名,女性33名)については2週間の時間的間隔を空けて再検査を実施した。調査内容は基本属性,スポーツ版失敗観尺度,STAI(特性不安),DIPCA(自信),対人過敏・自己優先尺度(評価への敏感さ)を用いた。【結果】再検査信頼性については,学習可能性(r=.58),プレーへの悪影響(r=.78),他者からの評価(r=.68),ネガティブ感情価(r=.75),失敗回避欲求(r=.79)であった。学習可能性は中程度であったものの,他の因子については一定の時間的安定性が認められた。一方,基準関連妥当性については,一部に理論的関連を支持する相関が見られたものの,全体としては弱い関連にとどまった。妥当性に関する詳細については当日発表する。【結論】本研究では,スポーツ版失敗観尺度の一部において妥当性および信頼性が確認された。そのため今後はさらなる精緻化と理論的枠組みとの整合性の検討が求められる。
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