講演情報

[03心-ポ-49]男性柔道指導者が指導の考え方を獲得していくプロセスに関する予備的検討

*柴田 大地1、高井 秀明2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)
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本研究の目的は、男性柔道指導者が指導の考え方を獲得していくプロセスについて予備的に検討することである。研究対象者は、公益社団法人全日本柔道連盟が認定する公認柔道指導者資格(A指導員)を保有し、柔道指導者として20年以上の指導歴を有し、主に高校生を対象とした男性柔道指導者1名(47歳)であった。言語データの収集は、指導の考え方を獲得していくプロセスについて半構造化インタビューによって行われた。その内容は、研究対象者の承諾を得てICレコーダーで録音され、逐語録が作成された。言語データの分析には、修正版Grounded Theory Approach(木下、2020)を用いた。その結果、13の概念と、2つのカテゴリーが生成された。以下には、概念が【】、カテゴリーが〈〉で表されるストーリーラインを示している。男性柔道指導者は、自身が選手であったころに【教わる立場でありながらも教えることに対して手ごたえを掴む】。そして、指導者から【人間性の面で真剣に叱責される】ことや【なぜ教えてくれないのだろうか】と指導者に疑問をもつ中で、〈受けた指導をきっかけに指導に対する考え方が芽生えはじめる〉。そして、男性柔道指導者は【受けた指導による気づきや疑問をもとにした指導】を実践し、指導者として歩みはじめる。その後は、指導の実践を通して【人間性の面の指導が定着せずに苦労する】。さらに、【話せば話すほど伝わらない】ことや【どこまで教えていいのだろうか】という苦慮する場面を経て〈指導の難しさと向き合う〉。そうした中で、男性柔道指導者は【他チームの取り組みを自チームの現状に応じて真似る】ことや、他者から【自己評価以上に高い評価を得て自信を深める】経験により、【指導におけるブレない軸を確立する】プロセスが示され、指導の考え方をより獲得していったことがうかがえる。

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