講演情報

[03心-ポ-51]「イップスの操作的定義」を基準とした野球競技におけるイップスの実態調査

*池田 和司1、渡邊 裕也1、甲斐 裕一1 (1. 日本経済大学)
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イップス(Yips)は「パフォーマンスを成功させるために求められる精密で細かい動きのスポーツに影響する心理―神経筋の動作障害」(Clarke et al., 2015)であり、我が国では野球競技での報告が多い(柄木田ほか,2021)。先行研究においても、大学野球選手107人のうち47%がイップスであると報告されており(青山ほか,2021)、イップスへの早急な対応が求められる。現場において、イップスのアセスメントツールの必要性が謳われている中、栗林ほか(2021)は「イップスの操作的定義」を開発しており、アスリートへの適切な治療や早期発見につながることが期待される。そこで本研究は、「イップスの操作的定義」に基づき、野球選手におけるイップス該当者の実態を明らかにすることを目的とする。調査対象者は、九州圏の四年制大学の硬式野球部に所属している大学生86名である。調査項目は、栗林ほか(2021)の「イップスの操作的定義」を用いており、A〜G基準のすべてに当てはまったものをイップス有群、ひとつでも当てはまらないものをイップス無群とした。調査の結果、86名中6名がイップス有群に分類され、全体の6.98%あった。これは青山ほか(2021)や賀川・深江(2013)の結果よりも著しく低い値である。そのように至る理由として①「イップスの操作的定義」が厳格であるがゆえ、潜在的なイップス群が必要以上に排除されたから②本研究も含めてイップスの評価が調査対象者の主観に委ねられるから、以上2点が考えられる。

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