講演情報

[03心-ポ-59]2型糖尿病患者の血糖管理と自己効力感がレジリエンスに与える影響

*西垣 景太1 (1. 東海大学 健康学部)
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国内の糖尿病患者数は552万人であり、そのうち2型糖尿病患者数は364万人とされている(厚生労働省2023)。治療においては、運動・食事・薬物療法のいずれもが必要とされ、患者自身による生活習慣の適正な管理が求められる。治療が長期にわたる中で、治療行動を継続する力や心理的なコントロール能力が治療行動の維持・変容を促す要因になると考えられる。レジリエンスは「精神的、感情的、行動的な柔軟性と外部および内部への要求への適応を通して、困難または困難な人生経験にうまく適応するための能力及びその結果」と定義され「精神的な回復力」とも表現される。そこで本研究は、2型糖尿病患者を対象に、レジリエンスの得点に影響する予測因子について、生理的指標及び運動など治療行動に対する自己効力感の得点から検討した。調査対象者は、大学病院及びクリニックにて外来通院薬物療法を受けている2型糖尿病患者のうち、研究参加に同意が得られた300名を対象とした。定期受診時に、レジリエンスおよび運動・食事・薬物療法に関する自己効力感、生活習慣の実態、血糖管理に関するアンケート調査を実施した。重回帰分析の結果、獲得的レジリエンス得点への正の予測因子として、「糖尿病に関する知識得点」「HbA1c値」「運動に関する自己効力感」、負の因子として「2型糖尿病罹病期間」が抽出された。また、資質的レジリエンスの得点の正の予測因子として、「食事に関する自己効力感」、「調査時の年齢」、「運動に関する自己効力感」、負の予測因子として「2型糖尿病罹病期間」が抽出された。これらの結果より、運動や食事の自己効力感が高いほど、獲得的・資質的レジリエンスの得点は高くなる傾向が認められた。一方で、糖尿病罹病期間が長いほどレジリエンスの得点は低くなる傾向がみられ、慢性疾患としての経過が心理的回復力に及ぼす負の影響が示唆された。

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