講演情報

[03心-ポ-65]デフアスリートへの心理的支援が心理的能力に及ぼす影響JISS競技心理検査による検討

*前田 凌汰1,2、後藤 賢二1、根本 玲1、幸田 剣1、土屋 裕睦2 (1. 和歌山県立医科大学 みらい医療推進センター げんき開発研究所、2. 大阪体育大学大学院)
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【緒言】聴覚障害を有するアスリート(以下、デフアスリート)は、競技中の情報伝達の制約や社会的な誤解・偏見にさらされやすく、心理的負担が大きいとされる(Stewart & Ellis, 2005)。加えて、自己内省やメンタル面での自己調整についても適切な支援を受けにくい現状がある。このような背景から、デフアスリートに対する継続的かつ個別的な心理的支援の必要性が指摘されている(内田, 2016)。【方法】本研究では、プレッシャー下での実力発揮を目指すデフアスリート1名を対象とし、日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士による月1回の心理的支援を実施した。心理的変化の評価には、2か月に一度、JISS競技心理検査(J-PATEA;立谷ほか, 2020)を用いた。【結果】J-PATEAの結果から、総合得点および心理的スキルの向上がX+8月以降に確認された。特に自己コントロールと自信は、X+6月以降に高値を示した。また、支援前期の主観的変化は「意識」「理解」にとどまっていたが、後期には「思考のクセの把握」「改善」といったメタ認知的視点が見られるようになった。【考察】心理的スキルの変化は、一定期間の介入を経て効果が現れることが示され、特にメタ認知の形成が自己効力感や心理的成長に寄与する可能性が示唆された。本研究は、デフアスリートに対する心理的支援の有効性と、その実践的可能性を示す一例となる。

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