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[03心-ポ-77]インセンティブが投球課題時のリスクテイキングに及ぼす影響と関連する心理特性の検討

*上野 壮士朗1、近藤 克磨1、三枝 徹平1、國部 雅大2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学体育系)
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【目的】本研究は、報酬獲得または損失回避といったインセンティブがリスクテイキングに与える影響と、関連する心理特性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象者8名(平均23.8歳,SD=2.2)が下手投げでボールを20回投じ、床面に投影された得点フィールド上の落下位置に応じて得点を獲得・損失する課題を行った。得点フィールドは奥側が幅20 cm、手前が60 cm、高さ200 cmの台形であり、奥に投げられるほど得点は高い(もしくは減点が小さい)が、その分外れる可能性も高くなった。報酬条件では開始時の持ち点を0点とし、投球ごとに0~10点が加算された。損失条件では持ち点を+200点とし、投球ごとに-10~0点で減算された。混合条件では持ち点を0点とし、投球に応じて-10 ~+10点で加算または減算された。実験前に日本語版The Movement-Specific Reinvestment Scale(MSRS, 川端・今中, 2019)とThe General Self-Efficacy Scale(GSES, 板野・東条, 1986)に回答してもらった。各対象者の条件ごとに全投球の平均座標位置を算出し、どれだけ奥に投げたかをDistance from Endline(DE)として評価した。【結果】分析の結果、報酬-損失-混合条件の順に有意にDEが減少し(p < 0.001)、手前を狙うことでリスクを回避した。また、MSRSの下位因子であるCMP(動作を意識的に制御する傾向)とDEの間に有意な相関がみられた(報酬条件:r = -0.715, p = 0.046、損失条件:r = -0.767, p = 0.026)。【考察】同価値の報酬獲得よりも損失回避を優先するヒトの傾向を再確認した。また、運動を制御しようとする潜在的な傾向が意思決定と関連している新たな可能性を示した。

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