講演情報
[08測-ポ-01]各種スポーツ施設における暑さ指数の系統誤差に関する研究
*高橋 和文1、金 興烈2、稲嶋 修一郎3 (1. 金城学院大学、2. 南山大学、3. 愛知県立大学)
熱中症の予防には、環境温度を適切に評価する必要がある。日本では熱中症警戒アラートとして、暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:以下WBGT)に基づいた注意喚起が行われている。WBGTは、スポーツや教育現場でも活用されているが、これまでスポーツ施設で観測されるWBGTと環境省が発信するWBGTの系統誤差については十分に報告がなされていない。本研究の目的は、芝生グラウンドと屋内プールのWBGTと環境省が発信するWBGTの系統誤差を調査することである。各スポーツ施設と環境省のWBGTとの系統誤差は、ブランド‐アルトマン分析により評価した。固定誤差は、対応のあるt検定を用いて各施設のWBGTと環境省のWBGTの測定値の差の信頼区間に「0」を含まない場合を固定誤差ありと判断した。比例誤差は、単回帰分析を用いて、回帰式に有意性があると判断した場合に比例誤差ありと判断した。有意水準は5%とした。結果、芝生グラウンドと環境省、屋内プールと環境省のいずれの関係においても、固定誤差と比例誤差に有意性が認められた。屋内プールは、施設そのものの温熱性能により、大きな固定誤差が認められた。他方で芝生グラウンドにおける固定誤差は、相対的にも絶対的にも小さく、影響は少ないものの、観測手法の違いも含めて、その理由を今後の研究で検討すべきである。また、正の比例誤差が有意なことから、WBGTが高くなるほど、芝生グラウンドと屋内プールのいずれにおいても熱中症警戒アラートよりも高くなることが想定され、これら施設での観測が求められる。K.Takahashi et. al.(2023)は、環境省のWBGTを活用してスポーツ施設のWBGTを予測する手法を提案しており、これらの系統誤差を考慮することで、WBGTの推定精度を高めることが期待される。本研究はJSPS科研費JP24K14570の助成を受けている
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