講演情報

[08測-ポ-12]肩関節可動域が野球投手の投球速度に及ぼす影響

*長谷川 伸1 (1. 九州共立大学)
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投球動作中において、肩の外旋可動域を制限すると投球速度が低下することから、肩への弾性エネルギーの蓄積と再利用が高い投球パフォーマンス発揮には重要とされている。野球投手の肩関節可動域特性として、投球側における外旋可動域の増大が多く報告されており、これは高速度の投球を行うための適応である可能性が考えられる。本研究では、大学生野球投手21名を対象に、肩関節回旋可動域(外旋可動域、内旋可動域、総可動域)および上腕骨頭後捻角の影響を補正した補正回旋可動域(補正外旋可動域、補正内旋可動域)を測定し、これらの指標と投球速度との関係について検討を行った。投球側では非投球側に比べ外旋可動域が大きく、内旋可動域が小さかったが、総可動域には差が見られなかった。また、これらの肩関節可動域の指標に加えて、上腕骨頭後捻角を測定して算出した補正外旋可動域、補正内旋可動域、さらに身長、体重、除脂肪量、指極、胸囲などの形態的指標と投球速度の関係について検討したところ、外旋可動域、補正外旋可動域、身長、体重、除脂肪量、胸囲が投球速度と有意な相関関係を示した。これらの変数を用いたステップワイズ法による重回帰分析では、説明変数として除脂肪量のみが採用された。これらの結果から、関節外旋可動域の大きさが投球速度を決定する要因の一つであり、骨形状の影響を除外した補正外旋可動域においても投球速度との相関が示されたことから筋や腱の柔軟性が投球速度に寄与している可能性が示唆された。一方で、本研究において投球速度に最も大きな影響を与える要因は除脂肪量であり、肩関節外旋可動域は決定的に重要な要因ではないと考えられる。

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