講演情報
[08測-ポ-20]カーリング競技におけるストーン速度の違いと動作特性の個人差
*小林 秀紹1 (1. 札幌国際大学)
本研究はカーリング競技のデリバリー動作におけるキネマティックス変量に対して各種機械学習を適用し,ストーン速度の違いによって動作が異なるか,また個人差があるかどうかについて検討することを目的とした.対象は全国大会上位入賞レベルの女子カーリング選手10名であった.氷上にてマーカーレスモーションキャプチャシステムを利用し,動作のキネマティクスデータを取得した.選手はドローおよびテイクウエイトの2種類の速度によるデリバリーを行った.解析は選手個々における2種類のストーン速度間の各関節角度の近似性について検討した.動作の時系列データとして動的時間伸縮法(DTW)を用いたクラスタリングの代替えとして,ユークリッド距離ベースの階層クラスタリング(Ward法)を適用した.次に,全変量を用いて,ストーン速度の識別を試みた.ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、ランダムフォレストとの比較から,サポートベクターマシン(SVM)の識別力が最も高かった. SVMによる分類は全変量の場合,速度変量を中心とする第1主成分においてトップウエイトとドローウエイトの識別が容易であった.一方,足首と膝の加速度を中心とする第2主成分においては明確な識別は困難であった.ストーン速度の判別に有効な関節角度を検討した結果,識別力の高い部位は仙骨-水平面角度,足関節角度であった.関節角度についてクラスター分析を行った結果,3つのクラスターに分類され,選手の動作特性の系統が窺えた.本研究ではカーリング競技のデリバリーフォームにおいて,動作の個人特性を抽出するために,分布に従わないデータ駆動型の機械学習による解析を行った.その結果,ストーン速度の調整は仙骨-水平面および足関節の貢献が認められるとともに,同様な動作クラスターにあっても,個人に特有な動作範囲が存在し,個別のフィードバックに利用可能と考えられる.
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