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[08測-ポ-29]高齢者における支持基底面積を基準とした有効支持基底面積の割合の性差

*杉浦 宏季1、山次 俊介2、山田 孝禎2、横谷 智久1、武 可3 (1. 福井工業大学、2. 福井大学、3. 福井工業大学大学院)
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各バランステストに共通することは、身体の質量中心の鉛直方向の投影点とほぼ一致する足圧中心位置(COP)を支持基底面(BOS)内に保持し続けることである。しかし、COPをBOSの外周まで移動させることはできず、実際はその内側に存在する有効支持基底面(LOS)の外周までしか移動できない。我々はバランス能力の新たな評価方法を提案するため、BOSに対するLOSの割合を評価するLPBテストを開発した。新たなテストを開発する上で性別の標準値を設定することは重要であり、さらには性差の検証も重要である。本研究の目的は、高齢者におけるLPBテストの性差を検証することとした。被験者は65歳以上の男性90名(79.1 ± 5.6歳)および女性190名(78.0 ± 6.2歳)とした。BOSの測定にはBodiTrak(Vista Medical Ltd.)を使用した。被験者には機器の中心に立ってもらい、足裏面積およびその間(足隔10 cm)の面積を測定し、総面積(BOS)を算出した。LOSの測定には重心軌跡測定器(竹井機器工業)を使用した。被験者には両足裏を浮かすことなく、COPを前後左右に移動してもらい、矩形面積(LOS)を算出した。その際、検者はCOPを中心から最も離れた位置で3秒程度保持できたことをパソコンの画面上で確認し、次の傾斜方向あるいは終了を指示した。重心軌跡測定器の上にBodiTrakを重ね、被験者は足裏接地部分を変えずに各動作をBOS、LOSの順に連続で1試行ずつ測定した。評価変数はLPBとした。解析には対応のないt検定を用い、統計的仮説検定の有意水準は5%に設定した。男性のLPBは38.8 ± 15.4%、女性のLPBは38.6 ± 16.8%であり、両平均値間に有意差は認められなかった(t = 0.09、p > 0.05)。以上、LPBテストに性差はないことが明らかにされた。

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