講演情報
[08測-ポ-35]高齢者の体力を評価する質問項目の選定
*坂井 智明1、石原 一成2 (1. 名古屋学院大学スポーツ健康学部、2. 福井県立大学)
【緒言】地域高齢者の介護予防に取り組む過程で、多くの高齢者が一次予防への参加を見送っていること、また自治体は高齢者の体力の実態を把握していないことが明らかになった。高齢者が集まる健康診断などで体力を評価するには質問紙法が有効であるが、その開発は進んでいない。そこで本研究では、高齢者の体力を評価するための質問項目の選定を目的とした。【方法】本研究の対象者は、運動教室への参加を希望した65歳から86歳までの高齢者83名(男性25名、女性58名、平均年齢76.1±4.3歳)であった。対象者は、新体力テスト実施要項(65歳~79歳対象)に基づき、握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行を実施した。その後、項目別得点表を用いて各測定項目を10段階で評価した。体力測定に先立ち、対象者の日常生活活動を40問の質問紙にて確認した。【結果】全対象者のうち、過去に大きな病気を経験した者は22名、体力に自信がある者は5名、ほぼ毎日運動している者は11名であった。全員が実施可能と答えた質問項目は4項目、選択肢のいずれかの回答者が4名未満であった質問項目は20項目であった。残りの16項目について、回答者の体力との関係を検討した結果、上体起こし8項目、開眼片足立ち6項目、障害物歩行7項目、6分間歩行7項目で有意差が認められた。特に、階段昇降、姿勢の変化・保持、移動に関する質問項目において、体力との有意な関連が認められる傾向があった。一方、機器操作を中心とした7項目では、いずれの体力測定項目とも有意差は認められなかった。【結論】高齢者の体力と日常生活動作の関連を検討した結果、11の質問項目で高齢者の身体機能を確認できることが明らかになった。一方で、日常生活活動に関する回答の偏りが見られた質問項目については、その要因を明らかにするため、さらなる調査が必要である。
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