講演情報

[08測-ポ-36]高齢者の反応ステップテストにおける敏捷性・平衡性と身体・認知機能との関連

*尾山 裕介1、坂口 雄介2、村山 敏夫3 (1. 桐蔭横浜大学、2. 北陸大学、3. 新潟大学)
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転倒回避動作には敏捷性や平衡性が必要であるものの、これらは単一の転倒関連体力のみで評価されることが多い。我々は敏捷性と平衡性の2つの観点から転倒回避能力を一連の動作で評価するテスト(以下、反応ステップテスト)を考案し、転倒歴や転倒不安といった転倒リスクが大きいほど反応ステップテストが低下していることを明らかしてきた。しかしながら、反応ステップテストとその関連要因については検討できていないため、本研究では反応ステップテストと身体・認知機能との関連性を検討した。被験者は高齢者56名(76.3±6.1歳)とした。反応ステップテストは圧力マットを敷いたステップ台上で立位姿勢をとり、光刺激後に素早く前方に1歩踏み出し、その後、10秒間の両脚立ち姿勢を保持した。評価変数は敏捷性を挙上時間(光刺激発生から片脚を挙上するまでの時間)、平衡性をCOP変数(単位時間軌跡長)とした。また、重心動揺計にステップ後5秒間について、1秒ごとに単位時間軌跡長を算出した。反応ステップテストは3試行の平均値を代表値とし、身体機能は握力、椅子立ち上がりテスト、Functional Reach Test(FRT)、2ステップテスト、認知機能はTrail Making Test Part-A(TMT-A)とPart-B(TMT-B)を測定した。重回帰分析の結果、挙上時間(敏捷性)と有意な関連のあった変数は認められなかった。一方、COP変数(平衡性)ではステップ後1~2秒の単位時間軌跡長においてFRTおよびTMT-Bとの間に有意な関連が認められた。ステップ後1~2秒は平衡性の再構築が求められる段階であり、FRTで評価される身体的バランス能力に加え、TMT-Bで評価される実行機能や注意制御能力も関与していると考えられる。したがって、反応ステップテストは多面的な転倒リスクの評価に有用な手法である可能性が示唆された。

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