講演情報

[09コ-ポ-09]大学生駅伝選手における腸内環境の改善が鉄栄養状態へ及ぼす影響選抜選手とその他の選手との比較

*渡邊 香緒里1、谷口 耕輔1、安達 瑞保1、杉田 正明1 (1. 日本体育大学)
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腸内環境が改善することで鉄代謝の抑制を防ぎ、鉄栄養状態の改善へ繋がる可能性がある.大学生駅伝選手に対し腸内環境を整える食事内容への介入により、腸内環境の改善が鉄栄養状態へ及ぼす影響を検討することを目的とした. 大学生男子駅伝ブロックに所属する選手13名を対象に、2024年4月から2025年1月を調査期間とし、血液検査、腸内細菌叢検査、食物摂取頻度調査を2~3か月に1回の頻度で計4回実施した.得られた検査結果を基に個別に栄養指導を行い、寮で提供される食事に腸内環境を整える食材を取り入れ、栄養セミナーにて選手の知識レベルを高め行動変容へ繋げるアプローチを行った.本発表では箱根駅伝本選の選抜選手(5名)と非選抜選手(8名)を比較し腸内細菌叢および鉄栄養状態に関する群間の差異を検討する.選抜選手と非選抜選手の平均で1回目と4回目の結果を比較すると、腸内細菌叢検査はビフィズス菌と酪酸産生菌の増加率がそれぞれ326%と159%、258%と150%であり、特に選抜選手での増加が顕著であった.一方、機能性下痢(IBS)スコアの増加率は選抜選手で減少(64%)、非選抜選手は増加(482%)を示した.食物摂取頻度調査は、水溶性食物繊維と鉄の摂取量増加率は全選手減少、ヨーグルト摂取頻度の増加率は183%,107%であり、全員が2回目以降はビフィズス菌入りの製品を摂取していた.血液検査は鉄栄養状態に変化は認められなかった.食事介入により有用菌は特に選抜選手での改善が顕著であったことがIBSスコアに影響を及ぼしたと考えられる.一方、夏合宿や実習などにより食環境が不安定となった時期(2・3回目調査)は、腸内環境の一時的な悪化がみられ、これが鉄栄養状態に変化が見られなかった要因の一つである可能性が考えられる.今後はより長期的介入での腸内環境の長期的安定化による鉄栄養状態への影響を改めて検討する必要がある.

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