講演情報
[09コ-ポ-27]疾走速度が高い女子ラグビー選手の加速局面におけるバイオメカニクス的特徴
*和田 直樹1、西山 哲成1、谷口 耕輔1、堀内 健太郎1、杉田 正明1 (1. 日本体育大学)
ラグビー選手においては短距離での加速が重要とされることから、本研究は50mスプリント走の加速局面(0-20m)でのバイオメカニクス変数を比較することにより、加速能力の向上に資する所見を得ることを目的とした。大学ラグビー部に所属する女子選手16名を対象に50mスプリント走を実施し、光電管(エスアンドシー社製)を用いて10m毎の区間タイムを計測した。また、疾走動作を被験者の左側方からビデオカメラ(SONY社製、撮影速度120fps)で撮影し、動作解析ソフト(DKH社製)を用いて各身体部位をデジタイズすることで0-20m区間のスプリント変数(疾走速度、ピッチ、身長比ステップ長)および0-10m区間の離地時の関節およびセグメント角度を算出した。これらの変数をスプリントタイムで区分した上位群と下位群でマン・ホイットニーのU検定(有意水準5%未満)を用いて比較した。その結果、上位群は3サイクル目(5、6歩目)以降の疾走速度が下位群と比較して有意に高かったことから、加速局面では4歩目までに大きな加速を獲得することが重要であると考えられる。また、下位群と比較して上位群は10mまでのピッチ、それ以降の身長比ステップ長の増加が大きかったが、ピッチと身長比ステップ長には群間の有意差はみられなかった。加えて、本研究では0-10m区間での歩数がどの被験者もおおよそ8歩程度であったことから、0m地点に近い1サイクル目(1、2歩目)と10m地点に近い4サイクル目(7、8歩目)における離地時の体幹および下肢関節角度を比較した結果、両サイクルともに上位群は遊脚の膝関節角度が有意に小さかった。以上の結果から、女子ラグビー選手の短距離スプリントにおいては加速局面前半で離地時の遊脚膝関節屈曲を維持しながら疾走速度を高める必要があると考えられる。
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