講演情報
[09コ-ポ-29]国際レベルのレスリング選手を対象としたミッドサイプルにおける力学的指標の長期モニタリング縦断的ケーススタディ
*小黒 喬史1、松本 慎吾1、関 星汰朗1、槇野 陽介1、月野 雄一1、橋本 瀬成1、林 嵩之1、松本 紘到1、黄 仁官1、杉田 正明1 (1. 日本体育大学)
レスリング競技において様々な負荷の大きさに対して短時間で大きな力を発揮することは重要な体力要素であると言える。そこで本研究では、世界選手権での入賞経験を有するレスリング選手1名(21歳、男子フリースタイル、競技歴19年、レジスタンストレーニング歴9年)に対してミッドサイハイプル(MTHP)を用いて、力学的指標をモニタリングすることを目的とした。測定は2023年10月~2024年10月の期間に実施したレジスタンストレーニングセッション時に実施された。MTHPは膝関節軽度屈曲位となるようにセーフティバーを設置し、その上に置いたバーベルを下肢伸展動作によってできるだけ素早く持ち上げる動作とした。慣性センサーのOUTPUT v2(OUTPUT Sports社)を用いて測定1回あたり3負荷条件(軽負荷・中程度負荷・高負荷)を各3試技ずつ行い、各負荷で最も高いピーク速度を採用した。得られたピーク速度から回帰分析を行い、推定最大ピークパワー(EMPP)、理論上の最大筋力(F₀)、最大速度(V₀)を導出した。これらの指標に対して、Smallest Worthwhile Change(SWC)を算出し、長期的な推移の評価対象とした。また測定期間をa)ベースライン、b)準備期Ⅰ、c)試合期、d)準備期Ⅱに区分し、ベースラインと比較した。結果、EMPP・F₀・V₀は期間ごとに異なる変動パターンを示し、EMPPは試合期後の一時的な低下や準備期Ⅱでの回復傾向が観察された。さらに試合期、準備期Ⅱでのパワー向上を目的としたストレングスプログラムを経てF₀が低下しV₀が向上する、所謂速度型の力-速度プロファイルへと変化したことが観察された。したがってMTHPによって導き出されるこれらの指標はレスリング選手の日々のコンディションや身体プロファイルを反映し得るモニタリングツールとして有用である可能性がある。
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